浄土は言葉がいらない世界
人間は言葉が必要な世界
地獄は言葉が通じない世界
「地獄」と聞くと、何か死後の世界のように思われるかも知れませんが、浄土真宗では死後の世界ではなく、今を生きている私たちの問題として見ています。
「獄」という漢字は、「犭」(けものへん)と「犬」(いぬ)の間に「言」(いう)で成り立っています。
2匹の「けもの」と「言」という字が組み合わさって、議論や争いから派生して「囚われの場所」「牢屋」という意味を表わしているそうです。
獣であらわされる言葉の通じない関係性は、私たち人間でもしばしば起こりえます。
お互いに自分の都合や言い分ばかりを主張して言い争い、最終的には戦争などの痛ましいことまで生み出しかねない私たち。
そのように考えると地獄は死後の世界の問題ではなく、今の私たちが地獄を生み出しかねない根っこを持った存在として見ているのです。
だからこそお互いを思いやり、言葉をもって相互理解が必要なのではないでしょうか?
浄土は言葉のいらない世界。
そんな関係性をいただくために、仏教は人間の根本的な問題を指摘してくださっているのだと思います。